2022年03月09日
入職・離職の動向
【令和2年雇用動向調査結果の概況】
(6) 転職入職者が前職を辞めた理由
令和2年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の理由(出向等を含む)」31.3%を除くと「定年・契約期間の満了」16.0%が最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」9.4%となっている。
女性は「その他の理由(出向等を含む)」26.9%を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.3%が最も多く、次いで「定年・契約期間の満了」12.7%となっている。
<ポイント>
・転職入職者が前職を辞めた理由は、男は「期間満了」ですが、女は「職場の人間関係」です。2番目の理由は男は「給与」、女は「期間満了」がきています。ここの項目の順番は、毎年、変わることが多く、今回も2番目の理由は前年と違っていますので覚えなおさないとなりません。
次回もがんばりましょう。
2022年03月08日
入職・離職の動向
【令和2年雇用動向調査結果の概況】
(4) 入職者に占めるパートタイム労働者の割合
令和2年1年間の年齢階級ごとの入職者に占めるパートタイム労働者の割合を性別にみると、女性の年齢階級ごとの割合は、25~29歳以降おおむね年齢が上がるとともに高くなり、35~39歳で5割を超え、60~64歳で7割を超え、65歳以上で9割となっている。
男性の年齢階級ごとの割合は、25~29歳から 50~54 歳まで1~2割と低く、60~64歳で4割程度、65歳以上で7割となっている。
性別の大小関係をみると 20~24歳以外の各年齢階級で女性が高くなっている。
<ポイント>
・女性の入職者に占めるパートタイム労働者の割合は、おおむね年齢が上がるとともに高くなるのは理解できると思われます。35~39 歳で5割を超えるとありますが、昨年までは「30~34 歳で5割を超える」でしたから、それだけ晩婚化が進んだか、結婚・育児でも正社員を辞めなくなっていると考えられます。
・更に60~64 歳で7割を超え、65 歳以上で9割と、「35歳→60歳→65歳で、5割→7割→9割」と押さえておきましょう。
・男性の方は、特に意識しないでも大丈夫とは思われますが、余力があれば覚えておきましょう。
(5) 転職入職者の雇用形態間の移動
令和2年1年間の転職入職者の雇用形態間の移動状況をみると、
①「雇用期間の定めなしから雇用期間の定めなしへ移動」した割合は48.2%
②「雇用期間の定めなしから雇用期間の定めありへ移動」した割合は13.9%
③「雇用期間の定めありから雇用期間の定めなしへ移動」した割合は8.8%
④「雇用期間の定めありから雇用期間の定めありへ移動」した割合は26.7%
となっている。
<ポイント>
・「期間の定めなし」で働いていた人は、再就職の際も、「期間の定めなし」が多く、「期間の定めあり」で働いていた人は、再就職の際も、「期間の定めあり」になる傾向が強いことがわかります。
・①~④の占率は、「なし→なし」が一番多く、次いで「あり→あり」、「なし→あり」、「あり→なし」の順となります。
次回もがんばりましょう。
2022年03月07日
入職・離職の動向
【令和2年雇用動向調査結果の概況】
(1) 令和2年の入職と離職
令和2年1年間の入職者数は 7,103.4 千人、離職者数は 7,272.1 千人で、年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率はそれぞれ13.9%、14.2%、入職超過率は-0.3 ポイントと離職超過となった。
前年と比べると、入職率が 2.8 ポイント、離職率が 1.4 ポイントそれぞれ低下している。
性別にみると、男性の入職率が 12.2%、離職率が 12.8%、女性の入職率と離職率はともに 15.9%、就業形態別にみると、一般労働者の入職率と離職率はともに 10.7%、パートタイム労働者の入職率が 22.2%、離職率が 23.3%で、同率もしくは離職超過となっている。
<ポイント>
・新しく会社に入社してくる人や、会社を辞める人は、1年間に約700万人いて、令和2年は退社している人の方が多いことがわかります。
(前年まで7年連続の入職超過でしたから、おそらくコロナの影響で離職超過になったものと思われます。)
・1年間に100人中14人程度が新しく会社に入社してきていますが、100人中14人程度が会社を辞めているのが現状です。みなさんの会社の入職・離職と比較して考えてみてください。
・入職率・離職率は、性別にみると、男性より女性の方が高く、就業形態別にみると、一般労働者よりパートタイム労働者方が高いのが特徴ですが、性別の開きよりも就業形態別の開きの方が大きくなっています。
(2) 産業別の入職と離職
令和2年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数、離職者数共に宿泊業,飲食サービス業が最も多く、次いで卸売業,小売業、医療,福祉の順となっている。
<ポイント>
・従業員が辞めたり、新しい従業員が入ったりすることが最も多いのは、宿泊業,飲食サービス業であることはうなずけると思います。せっかくなので、2番、3番が卸売業,小売業、医療,福祉になることも覚えてしまいましょう。
(3) 性、年齢階級別の入職と離職
令和2年1年間の入職率と離職率を性、年齢階級別にみると、男女ともに入職率は 24 歳以下が他の年齢階級に比べて高くなっている。
入職率と離職率の大小関係をみると男女ともに 24 歳以下は入職率の方が高く、25~29 歳から 50~54歳までの各年齢階級でおおむね同率、55 歳以上で離職率の方が高くなっている。
<ポイント>
・入職率は、新卒採用される年齢が含まれる24歳以下が高くなるのは当然のことです。
・離職率が高いのは、20歳台(入社3年以内に辞めてしまうことが多い)と55歳以上(定年退職や期間満了によることが多い)となります。
<全体を通してのコメント>
入職率、離職率共に前年よりも下降していますので、令和2年は「雇用の流動化」が進まなかったともいえます。
労働者が会社を移りやすくし、労働市場が流動化されることによって、産業のさらなる発展と成長が起こり、雇用市場が活性化すると考えられますので、政府にとっては、雇用が成長産業へよりシフトしている動きがみられる場合には歓迎すべきことになります。
しかし、今まで日本では「雇用の流動化」は、ネガティブな意味で使われることも多く、必ずしもポジティブな事象とはいえませんでした。
特に、バブル経済の崩壊以降、企業が人員を柔軟に調整し人件費を削減するために、非正規労働者の採用を増やしたことで、雇用の流動化=非正規雇用の増加=不安定雇用・低賃金の増加、といった社会問題を巻き起こしたともいえるからです。
いずれにせよ、雇用動向調査は、入職・離職といった雇用状況の動きが、今後の我国の経済の発展に寄与した動きになっているかをみるための重要な統計調査です。
内容的にはつまらないかもしれませんが、過去の本試験にも出題されています。
次回もがんばりましょう。