2022年11月23日
55問目は、択一式の社会保険一般常識です。
正答率60%の問題です。
<問題( 択一式 社一 問6 )>
〔問〕 確定給付企業年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 確定給付企業年金法第16条の規定によると、企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の同意を得なければならないとされている。
B 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金を実施する場合にあっては、基金。以下本問において「事業主等」という。)は、障害給付金の給付を行わなければならない。
C 掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。この基準にしたがって、事業主等は、少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算しなければならない。
D 企業年金連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立するには、その会員となろうとする10以上の事業主等が発起人とならなければならない。
E 連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A × (確定給付企業年金法16条1項)基金は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く)をしようとするときは、その変更について「厚生労働大臣の認可」を受けなければならない。なお、厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出なければならない。
B × (確定給付企業年金法29条2項)障害給付金は任意給付であり、事業主等は、規約で定めるところにより、障害給付金の給付を「行うことができる」とされている。
C × (確定給付企業年金法57条、法58条1項)前段部分は正しいが、事業主等は、少なくとも「5年」ごとに当該基準に従って掛金の額を再計算しなければならない。
D × (確定給付企業年金法91条の5)企業年金連合会を設立するには、その会員となろうとする「20以上」の事業主等が発起人とならなければならない。なお、連合会は全国を通じて1個とする(法91条の2第2項)。
E 〇 (確定給付企業年金法100条の2)本肢のとおりである。
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step3 コメント
・択一式の社会保険一般常識の問6は、確定給付企業年金法からの出題でした。数字を含め、細かい点を問う肢が多く、比較的難しい問題だったといえます。
明日もがんばりましょう。
2022年11月22日
54問目は、選択式の労災保険法です。
正答率86&60&85%の問題です。
※選択式労災C=86%、D=60%、E=85%(C及びEは正答率がDより高いものの同じカテゴリーですので、Dの正答率に合わせここで掲載しています。)
<問題( 選択式 労災 CDE )>
最高裁判所は、中小事業主が労災保険に特別加入する際に成立する保険関係について、次のように判示している(作題に当たり一部改変)。
労災保険法(以下「法」という。)が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を C とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。そして、法第3条第1項、労働保険徴収法第3条によれば、保険関係は、労働者を使用する事業について成立するものであり、その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ、同法第4条の2第1項において、保険関係が成立した事業の事業主による政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており、また、労働保険徴収法施行規則第16条第1項に基づき労災保険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める労災保険率適用事業細目表において、同じ建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行われる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているものがあることなどに鑑みると、保険関係の成立する事業は、主として場所的な独立性を基準とし、当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体を単位として区分されるものと解される。そうすると、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(以下「建設の事業」という。)を行う事業主については、個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とする営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に D を前提に、各別に保険関係が成立するものと解される。
したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、 E に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。
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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。
Cの選択肢
⑮ 使用者 ⑯ 特別加入者 ⑰ 一人親方 ⑱ 労働者
Dの選択肢
⑬ 事業主が自ら行うものがあること ⑭ 事業主が自ら行うものがないこと
⑲ 労働者を使用するものがあること ⑳ 労働者を使用するものがないこと
Eの選択肢
⑨ 営業等の事業に係る業務 ⑩ 建設及び営業等以外の事業に係る業務
⑪ 建設及び営業等の事業に係る業務 ⑫ 建設の事業に係る業務
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step2 正解は・・・
D → ⑲ 労働者を使用するものがあること(平24.2.24最高裁判決広島中央労基署長事件)
E → ⑨ 営業等の事業に係る業務(平24.2.24最高裁判決広島中央労基署長事件)
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step3 コメント
・選択式の労災保険法のC、D及びEは、最高裁判決広島中央労基署長事件からの出題でした。以前には、平成27年選択式で、最高裁判決高田建設事件が出題されたことがあります。久しぶりの判例からの出題ですが、中小事業主の特別加入の仕組みを知っていれば比較的得点しやすい問題です。
明日もがんばりましょう。
2022年11月21日
53問目は、択一式の国民年金法です。
正答率60%の問題です。
<問題( 択一式 国年 問6 )>
〔問〕 国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 子の遺族基礎年金については、受給権発生後当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当する障害の状態となり、以降当該子が20歳に達するまでの間障害の状態にあったときは、当該子が18歳に達する日以後の最初の3月31日を過ぎても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できる。なお、当該子は婚姻していないものとする。
B 第3号被保険者の資格取得の届出を遅れて行ったときは、第3号被保険者の資格を満たしていたと認められた場合は該当した日にさかのぼって第3号被保険者の資格を取得することになるが、この場合において、保険料納付済期間に算入される期間は当該届出を行った日の属する月の前々月までの2年間である。ただし、届出の遅滞につきやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができ、その場合は当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。
C 平成17年4月1日前に第3号被保険者であった者で、その者の第3号被保険者期間の未届期間については、その届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められない場合でも、厚生労働大臣に届出が行われたときは、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は保険料納付済期間に算入する。
D 国庫は、当分の間、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、当該年度における国民年金法による付加年金の給付に要する費用及び同法による死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く。)の総額の4分の1に相当する額を負担する。
E 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、日本国内に住所を有しなくなったときは、その日に任意加入被保険者資格を喪失する。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A 〇 (法40条3項)本肢のとおりである。
B 〇 (法附則7条の3第1項・2項・3項)本肢のとおりである。第3号被保険者又は第3号被保険者であった者は、保険料納付済期間に算入されない期間のうち平成17年4月1日以後の期間について、第3号被保険者の届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出(特例による届出)をすることができ、当該届出が行われたときは、届出が行われた日以後、当該届出に係る期間は、保険料納付済期間に算入される。
C 〇 (平16法附則21条)本肢のとおりである。平成17年4月1日前の期間については、特例による届出が行われた場合には、届出の遅滞についてその理由を問わず、保険料納付済期間として算入される。
D 〇 (昭60法附則34条1項)本肢のとおりである。付加年金及び死亡一時金に係る加算額(8,500円)の給付に要する費用については、その4分の1の国庫負担が行われる。なお、「死亡一時金の給付に要する費用(同法第52条の4第1項に定める額に相当する部分の給付に要する費用を除く)」とは、死亡一時金に係る加算額に要する費用のことである。
E × (法附則5条6項)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者が日本国内に住所を有しなくなったときは、「その翌日」に、任意加入被保険者資格を喪失する。なお、日本国内に住所を有しなくなった日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日に、任意加入被保険者の資格を喪失する。
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step3 コメント
・択一式の国民年金法の問6は、正解肢のEの「日」か「翌日」かは基本事項ですので、すぐに誤りであることに気付いた人も多かったに違いありません。ここは、誤り探しということもあり、他の選択肢の正誤がわからなくてもEの1択で正解できるといえる問題です。
明日もがんばりましょう。